小狐話楼

趣味の話を、とりとめもなく

真説・竹取物語

映画カテゴリでまた書くことになるとは、
「風立ちぬ」の話を書く時は思ってなかったのですが・・・


かぐや姫の物語 公式サイト


・・・正直、あまりにツボに入りすぎて、
どう書いたものかわからないのですが・・・(´-ω-)


※後半、軽くネタバレっぽいものが出てきます
 「竹取物語」にネタバレも何もないのですが、
 「ここから危険」と書いてある以降はご注意を


そもそも、「竹取物語」を知らない人は相当希有な存在でしょう
少なくとも「竹から産まれた美しい姫が、求婚をかわしつつ、
最終的に月に帰ってしまう話」というあらすじは知っているはずです *1

しかし、冷静に考えれば、以下のような疑問が湧いてきます

  • 姫が月で犯した「罪」とは何か?
    • 彼女は罪人で、贖罪のために地上におとされた存在
  • 姫はなぜ求婚を全て拒んだのか?
    • 「月に帰ってしまうことを知っていたから」も答えの一つですが・・・
  • そもそも、なぜ姫は月に帰らないといけないのか?
    • 刑期が終了したから、とも考えられますが・・・

実際、私はこれらの「疑問」が鍵だろうと、
見る前に別なBlogで書いています

CMの映像だけでも釘付けになっていたくらいなので、
あの6分間の映像もそれはそれは素晴らしく、
やっぱり早急に見にいかないといけないな・・・と( ゚д゚)o彡゚

考えてみれば、「竹取物語」の概要はよく知ってますが、
詳細となるとわりと曖昧なところが多いですよね

公子それぞれの冒険譚とか、
月からの便りがくるあたりとか、帰還のシーンとか、
あとはなにより、「姫は月で何をやらかしたのか?」とか

そもそも姫は「罪人」であり、
その贖罪のために地球に「降りてきた」わけですが、
単に「汚れた場所で暮らすこと」だけが「贖罪」だったのでしょうか?

そう、「汚れた場所」だからこそ帰るのに「あれ」が必要だったのですが、
このあたりが今回の映画の鍵なんじゃないかと、
あの6分間の映像を見て思ったんですよね・・・(´-ω-)

あえて「かぐや姫の物語」と主観的なタイトルをつけたりとか、
あの主題歌の内容とか、いろいろ考える余地はあるのですが、
とにかく近いうちに見にいってきます

http://parrot.blog21.fc2.com/blog-entry-3156.html

たしかに、これらの「疑問」を味付けに、
話がアレンジされてはいるのですが
私の予測はいい意味で裏切られます

今、この記事を書くまで公式サイトを一切見ておらず、
予告編の内容から想像してあれを書いたのですが、
実は監督自身が「疑問」について書いています

でも、それすらもまだ本質ではなく、この映画は全てにおいて、
「姫を魅力的な女性として描くこと」に全力を注いでいます

姫は「美人」だし、「才能」もあります
でも、それ以上に「かわいらしく」、「魅力的」です
それがこの映画の鍵であり、全てです

CMにも出てくる「桜の下ではしゃぐシーン」、
あれを見た時に釘付けになったわけですよ
あれはあまりに魅力的すぎました(*゚∀゚)=3

あれは端的な例ですが、赤ちゃんのかわいらしさとか、
髪を結う仕草のさりげない美しさとか、
一つ一つの所作がとにかく「魅力的」すぎます *2

だからこそ、そこまで姫に入れ込んでしまうからこそ、
後半の展開は残酷で見ていてきついものがあります(´-ω-)

公子達と対峙するシーンで、
姫がぐっとこらえているシーンとか、
見ていて「うわぁぁぁ」と思いましたし

そろそろ軽いネタバレに入るので、
いったんまとめを書いておきますが、
迷っているならぜひ見てください

このレベルのアニメがこれから出てくるのか、
正直わからないと思わせるレベルの完成度です

ぶっちゃけ、個人的には「宮崎駿高畑勲」のイメージでしたが、
この映画で一気に覆った気がします
それほど強く、心に響く名作だったと思います(`・ω・´)



※ここから危険




この映画を端的に一言で表すなら・・・

男達のくだらない虚栄心や誤った幸福観に振り回された結果、
一人の女性が
不幸になる話限界まで追い込まれるが、
それを乗り越えようとする話

(2013/11/28修正)

・・・だと思います

公子のくだりとか、帝がやってくるシーンもそうですが、
とにかく翁、こいつが全ての元凶です(ノ゚Д゚)ノ彡┻━┻

先ほども書いたように、姫の「魅力」は外見とか才能とか、
そういうところにはありません

にもかかわらず、よってくる男は姫の「外側」しか見てないし、
翁は権力者に嫁がせることが姫の幸せと信じて疑いません *3
彼女はそんなことを望んでいないのに(´・ω・`)

ある意味おばあさんだけが理解者として、
姫のフォローをしてくれるわけですが・・・

姫は自分のわがままを通すため、稚拙な一計を案じます
しかし、それが思いもよらない結果を招いたため、
今度は命がけで「反逆」を企てます

それすらも通らないと悟った時に、
姫は「取り返しのつかないミス」を犯します
それがなんというか、こう・・・不憫で(´;ω;`)

どこまでいっても、この映画は「竹取物語」であり、
月に帰るまでは既定路線です

しかし、そこにいたるまでの過程を、
姫の心情を織り込みながら、恐ろしいほど丁寧に、
描いているのがこの映画なのです

だからこそ、この映画は「竹取物語」ではないのです
「かぐや姫の物語」なのです

で、最後にあの主題歌ですよ
あの歌詞はパーフェクトすぎて、
映画館で涙をこらえるのにえらい苦労しました・・・

ストーリーもそうですが、とにかく背景とか、
平安時代の風俗とか、そういうのを丁寧に、
それこそ「それが当たり前であるかのように」描いているのもポイントです

「千歳ヲチコチ」については以前書きましたが、
暴れん坊少納言」についても相当にツボで、
手持ちのBlogそれぞれで書いてしまったので、このBlogで何を書くのか困るくらいで(´-ω-)

ちなみに、「椅子」に関する解説はこちらにあるのでぜひ

暴れん坊少納言(5) (ガムコミックスプラス)

暴れん坊少納言(5) (ガムコミックスプラス)

あと、ここまでさんざん「姫」について書いてしまいましたが、
他の登場人物もとにかく魅力的です
翁もイライラしましたが、あれはあれでかわいいのも事実というか・・・

特に個人的にツボだったのが、姫の側女というか、
公式サイトの記述だと「女童」でしょうか
とにかく彼女のコミカルな動きが完全にツボでした( ゚д゚)o彡゚

なんだかんだで重要なシーンには全て絡んでましたし、
最後の最後でも重要な役回りを演じていました
ああいうキャラは絶対に必須でしょう


正直、どこまで書いても終わりがないので、
そろそろ締めたいと思いますが、
公式サイトに書いてあるこの言葉で終わりたいと思います


"この世は生きるに値する"


「風立ちぬ」よりもはるかに強く、
このテーマが「刺さった」映画でした


<追記>
昨年亡くなった地井さんが、「翁」として出演できているのは、
公式サイトにもある通り、この映画は音声を先に収録し、
それに絵を合わせる、という手法を使っているからです

Twitterにも書いた通り、地井さんの演技は完璧でした
やはり惜しい人を亡くしましたね・・・(´・ω・`)


<追記2>
ちょっとしたきっかけでこういうのを書いたのですが・・・

失われていく「逃げ場」 - ぱろっと・すたじお

・・・これはこの話にも言える気がします

非リア充の人が強制的にリア充の社交場に投げ込まれ、
望まない形でちやほやされてイライラし、
その「逃げ場」がなくなった時に爆発したんだろうな・・・と(´・ω・`)


<追記3>
追記2を書いたところで気づきました
いや、公式HPに書いてはあったのですが、
やっと全部「見えた」というか・・・

*1: 日本最古のSFとしても有名ですね

*2: アニメーションとしてありえないレベルの表現技法というか・・・なんなんですかねあれ(lll゚Д゚)

*3: 当時の価値観としては「正解」です でも、「かぐや姫」にとってはどうでしょうか?